チャンピアン フルトン レビュー ⑴ CD ホット リスト 日本語訳
「チャンピアン フルトン レビューズ」
日本語訳 Translated by Hide Tanaka
Review from CD Hot List
私はやっとチャンピアン フルトンの魅惑的表現力の理由を的確に理解する事ができたと思っています。
それは彼女は、どうやってたくさんの困難な音楽的課題をいっぺんに全てできてしまうのか、その多彩、そして相反する表現力、という事です。
彼女の歌は正統派ボーカル スタイルでありながら実験的であり、感情的な歌い方と叙情的な歌い方が常に交差し、ゆったりとしたバックビートを強調しながら、ハードにスウィングする、という相反するものを同時進行させるユニークな才能です。
それは彼女が愛する「曲」そのものに献身的に感情を入り込ませながらも、自らのユニークさを表現していくという決意にあります。
エラ フィッツジェラルドとニーナ シモンが唄う同じ曲を、同時に聴いているところを想像してみて下さい。そうすれば私の言わんとしている事を理解できると思います。
“I Didn’t Know What Time It Was” そして“Body and Soul” のような、もう歌い尽くされている曲を、全くオリジナルな自分の表現方法で歌える歌手は非常に少ない。しかし彼女はそれができる数少ない歌手の1人です。
しかもそれだけでは無く、彼女のピアノは常に遊び心と創造性に満ち溢れ、彼女の歌と同じように驚くほどのリズム感なので、じっと座って聴いている事は困難です。
この彼女の最新アルバムではベーシストHide Tanaka とドラマー Fukushi Tainaka という優秀なトリオを率い、ゲストには彼女の父 Stephenがフリューゲル ホーンで数曲参加しています。
曲目は全てスタンダード、Oscar PetersonとCedar Waltonの曲目も含まれています。
月並みな演奏は一曲として無い、ジャズファンには必須のアルバムです。
チャンピアン フルトン レビュー ⑵
ジャズ ワックス Review from JazzWax https://www.jazzwax.com
日本語訳 (抜粋) Translated by Hide Tanaka
これはピアニスト、シンガーのチャンピアン フルトンの10枚目のアルバム。
このアルバムは彼女のコケットリー(可愛くセクシー)感満載のジャズ スタンダード曲集である。
経験豊かな彼女の歌声はブロッサム ディアリーの洗練さ、親密感が散りばめられ、声をスライドさせる唱法はビリー ホリデイ、ベティー カーターをも思い起こされる。
私は彼女の名前に好奇心をそそられ、”Champian”ってどういう発音なの?ときいてみた。
「Championと同じ発音、私の本名よ。私の両親は私が生まれて来る前は男の子が生まれて来るものだとばかり思っていて、もうChampionという名前を決めていたの。彼らの小さな『チャンプ』ってね。で、実際生まれてきたのは女の子。でももう彼らはその名前をとても愛していたので、Championのoをaに変えただけで結局その名前を付けちゃったわけ。私はあだ名は無いの。女の子なわけだから誰も私の事『チャンプ』なんて呼ばなかったわ。そう、チャンピアンよ、それが正式の発音。」
聴いていただければ分かると思いますが、彼女は素晴らしいピアニストでもあります。
チャンピアン フルトン レビュー ⑷
By Joe Bebco "The Syncopated Times"
https://syncopatedtimes.com/stylings-of-champian/
日本語訳(抜粋)Translated by Hide Tanaka
チャンピアン フルトンの若さで、これが10枚目になるアルバムとは驚くべき事です。しかも二枚組CD。
このカルテットはニューヨークでいつも演奏しているメンバーなので、息の合った演奏となっています。
チャンピアンはオクラホマの恵まれた音楽的家族で育ち、10才からプロとして活躍しだしました。
彼女はクラーク テリーに直接指導を受け、ニューヨークに出てきた後も直ぐにニューヨーク ジャズ シーンにとけ込み、2000年代中頃にはBirdlandに2年間レギュラー出演していました。
「The Stylings of Champian」は14曲の深く掘り下げ、探られた85分からなる音楽です。彼女の技術のしっかりとしたボーカルがフューチャーされると共に、彼女の好きなピアニスト、Oscar PetersonやCedar Waltonの曲もフューチャーされています。
二枚組85分の長さだけあって、まるで見事に録音されたライブ演奏のような感じを与えられます。
特に私はドラムとベースのインタープレイが素晴らしいと思い、またある時点でのベーシストの驚くような弓の使い方に注意を引きつけられました。
正統派ジャズの「心」に敬意を払った、とても洒落たプロフェッショナルなアルバムです。
“Martha’s Prise” と “Blues Etude”ではチャンピアンの気分最高のピアノが際立ち、
“Lollipops and Roses” と “I Didn’t Know What Time It Was”の解釈ではどの「現代の素晴らしいボーカリスト リスト」の中にも加えられる事疑い無しです。
チャンピアン フルトン レビュー ⑸
COULEURSJAZZ 26 NOVEMBRE 2018 PAR ALAIN TOMAS
https://couleursjazz.fr/champian-fulton-the-stylings-of-champian/?lang=fr
フランスのジャズ ブログより
日本語訳(抜粋)Translated by Hide Tanaka
ダウンビートマガジン、2013、2014 "Rising Star of Vocal Jazz"(新人賞受賞)
ホットハウス マガジン、2017 “Female Voice of the Year"「今年の女性歌手」に選ばれる。
最新アルバム“The Stylings of Champian”はそんな彼女の勢いを示すアルバムです。
Dinah Washington、Sarah Vaughan、Billie Holidayなどにインスピレーションを受けながらも、今やチャンピアン フルトンはユニークで独自の個性を持った歌手となっています。
新鮮な若々しさと完全にマスターされたフレージングが、曲の美しい旋律、自然な歌い方を可能にしています。
特にスロー、"Darn That Dream"のその細いかところまで徹底的にされた解釈は芸術的に円熟しているのが明白です。
その彼女の歌声もさる事ながら、Bud Powell, Red Garland, Wynton Kelly, Erroll Garnerなどの偉大なピアニ達から影響を受けた、彼女の自然体でエネルギッシュに輝くスィンギーなピアノも聴きものとなっています。
チャンピアン フルトン レビュー ⑶
All about Jazz by DAN MCCLENAGHAN October 30, 2018
日本語訳(抜粋)Translated by Hide Tanaka
ピアニスト、ボーカリストのチャンピアン フルトンはきっと世界で最もチャーミングな人柄かもしれません。
YouTubeなどにたくさん載ってる彼女のパフォーマンスやインタビューをちょっと見ただけでも、創造の歓びに輝いているアーティストだというのが分かります。
彼女の音楽はまるでBud Powell、Ella Fitzgerald、Louis Armstronらがそうであったようにあなたの魂を飛翔させ、そのスウィング感は最高です。
最初の曲、たくさんの人が歌っている"Day By Day"。
この曲を聴いただけで、彼女が最初の頃は歌はあきらめて、ピアノだけに専念していた時期もあった、という事が信じられません。
"Day By Day" を聴いていただくと分かりますが、彼女が歌は歌わない、という決心を取りやめた事はとても良い事でした。
彼女は完全に確信をもって、クリーン、正確、明瞭さと繊細で品の良いボーカル スタイルを確立しました。
"Lollipops and Roses" は普段はあまりJazzシーンでは聴かれない曲です。
歌詞は気まぐれな女性と付き合う時のアドバイス。
フルトンはユーモアとともにそれを説明し、簡潔なピアノソロもとっています。
この曲はチャンピアンの魅力である「気品」に溢れ、このアルバムのハイライトをなすものです。
楽器演奏だけの曲もたくさんの入っています。
Oscar Peterson作曲 "Blues Etude"は「恐ろしい」ほどです。
"Rodeo" は彼女の父(フリューゲル ホーン)、Stephen Fulton作曲。
"All The Things You Are"ではStephenの火の出るようなフリューゲルが聴けます。
Cedar Walton作曲"Martha's Place," も情熱的な演奏です。
そしてもう一つのハイライトは"Body and Soul"。
これは幻想的で流れるようなHide Tanka のベースとチャンピアンのボイスのみのデュオです。
チャンピアン フルトン レビュー ⑺
"The Stylings of Champian"
Step Tempest https://steptempest.blogspot.com/…/attractive-opposites.html
日本語訳 by Hide Tanaka
ーーーEven when there's swinging with a purpose, the focus is on playing together and making older songs sound fresh、、、ーーー
ーーー「たとえスウィングする事が第一条件である時ですら、一緒にクリエイトする事に集中し、古い曲を新鮮な曲に変えている。」ーーー
ピアニスト、ボーカリスト、チャンピアン フルトン新作、2枚組自主制作盤アルバムのジャケットを一目見るとまた夏がやって来た。
このスタンダードと素晴らしいジャズ曲を散りばめた快活なアルバムを聴くと、頭が揺れ、足はリズムをとり、もうあなたは浜辺でご機嫌。
彼女は"New York Band"のリズムセクション、bassist Hide Tanakaとdrummer Fukushi Tainakaに囲まれ、またお父さんStephen Fultonが全ての曲では無いが、何曲もフリューゲル ホーンで渋い音を聴かせてくれる。
お父さんがどうやって"I Only Have Eyes For You"でスウィングしているのかを聴けば、娘のチャンピアンがどうやってスウィングを学んだか容易に分かる。
彼女が10才の時の初仕事はお父さんのおかげで彼の友達、クラーク テリー75才の誕生日パーティーだった。
彼女はピアノだけで無く、とても明るい独特の声の持ち主だ。
ボーカルとベースだけのデュオ"Body and Soul"を聴いてみよう。
彼女は歌詞の中をサックスのように動き回り、そしてサックスのようにメロディーを演出する。
その彼女の声と、豊かな音色のTanakaが絡み語り合う。
しかもこの曲は3:14と簡潔に収められ、それが最高の出来ばえとなっている。
全曲全てを通してミュージシャン達はお互い同士の親密感を創造している。
たとえスウィングする事が第一条件である時ですら、一緒にクリエイトする事に集中し、古い曲を新鮮な音に変えている。
またあまり一般には知られていないCedar Walton作曲の"Martha's Prize" はとても魅力的な冒険となっている。
Irving Berlin作曲の "It's a Lovely Day"では偉大なるダンサー、そして素晴らしいポピュラーソングの歌い手、Fred Astaireの響が聴こえてくるようだ。
お父さんのフリューゲル ホーンが、娘のイタズラっぽく心地良く遊び回る音の中を優雅に踊る。
Rodgers and Hart作曲の"I Didn't Know What Time It Was"では踊るドラムと、とてもメロディックなベースに支えられている。
チャンピアンがソロに入ると3人のミュージャン達は1つになる。
"Lonesome and Sorry"(first recorded in 1926 by Jean Goldkette's Orchestra as well as Ruth Etting) での彼女の解釈は1962年のNat "King" Coleに近く、楽しくスィングする。
アルバム最後の曲はカルテットでの演奏で"All the Things You Are"。
まず下方でエネルギッシュに踊りまくるリズムセクションに乗り、出だしからハイパワーのフリューゲル ホーンのソロが炸裂する。
ベーシストがチャンピアンに踊りの手を差し伸べる前に、彼女はその踊り方をよく理解し、すでに跳ね回っている。
この曲はドラマーTainakaもフューチャーして、父、娘でドラムとのフォーバース、そしてエンディングはイントロを思い浮かべる感じのコーダ終わる。
"The Stylings of Champian" は最初から最後まで力強い演奏と、素晴らしいミュージシャンのインタープレイに満ち溢れたアルバムだ。
チャンピアン フルトンは歓びに満ち溢れたピアニストであり、想像を刺激する、自信に溢れた歌手である。
決して勢いに任せ自分のテクニックを見せびらかすような演奏はしない。しかし全ての曲を自分の一部にしてしまう。
この彼女の10枚目のアルバムは、その彼女の魅力を探り楽しむ価値あるアルバムである!